数年前から徐々に前頭部左側の髪が薄くなり始めている。
2010 | 2020 | 2023 |
時は満ちた。
ただそれだけのことだ。
父親も両祖父も禿げていた。
俺はこの世界においてはサラブレッド。
エリート街道という敷かれたレールの上を突き進むだけ。
逃げ場などない。
そう思って生きてきた。
だから、若い頃から誰よりも “そのとき” が訪れることに正面から向き合い、思考を巡らせてきた。
様々な選択肢を洗い出し、取捨選択の末に辿り着いた答え。
「抗わない」
流れに身を任せ、着飾らず、ありのままの自分で。
これこそ自分に合った生き方であり、毛髪の有無以前に人として「ありたい姿」
自分なりのかっこいい老い方である。
しかし、いざ “そのとき” を迎えた今、その覚悟が揺らぎそうな自分の存在に気付いてしまうことがある。
自分でも無意識のうちに「ちょっと良いシャンプー使ってみようかな」と考えていることがあったり、育毛剤のCMをしっかりめに見てしまっている自分に気付き、その覚悟の甘さに反吐が出る。
今日、美容師さんとの会話の中で、最近は禿げに効く内服薬があるということを聞いた。
おいおい、ちょっと待ってくれ。
俺が自然の摂理として長年向き合ってきたものは病気なのか?
薬を使って治すようなものなのか?
何も知らずに拒絶するのは良くない。
許しがたい気持ちを抑えながら調べたよ。
どうやら最近はハゲのことを「AGA」と呼ぶらしい。
そういえば何か聞いたことあるな。
AGAとは、AndrogeneticAlopeciaの略で、男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)のことです。
AGAとは? | AGA・発毛・薄毛治療のAGAスキンクリニック(Aスキ) (agaskin.net)
男性型脱毛症とは、成人男性特有の進行性の脱毛症で、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなったりするのが特徴で、遺伝や男性ホルモンの影響が主な原因だと言われています。
特に20代以降の男性に多く見られ、日本人男性の3人に1人がAGAだと言われています。AGAは治療せずに放置すると進行していきますので、早めの治療が大切です。
いや、わからない。
これは今まで俺が向き合ってきた「ハゲ」と何が違うんや。
他人の考えは知らん。
けど、俺は医療の力を使ってまで髪の毛にすがりつくような生き方を心の底からダサいと思う。
禿げたくないと悲壮感に駆られながら毎食後に錠剤を飲む人生などごめんだ。
華々しく散りたい。
決意を新たにすることができた。
今回、俺は検索エンジンYahoo!に「ハゲ 内服薬」ってタイピングするときの痛みを知った。
痛みを知るから人に優しくできる。優しさは強さ。
またひとつ強くなれたと思う。