後悔

先日、2008シーズンを共に過ごした選手と偶然お話しする機会がありました。

その選手は地域リーグで並外れた結果を叩き出し、複数クラブによる争奪戦の末、鳴り物入りでデウソン神戸に加入しました。
しかし、結果を残せず半年で退団。

当時の神戸は個人技重視100%のスタイルでやっていましたので、味方と繋がって活きるタイプの彼はチームにフィットすることができませんでした。
「能力がなかったわけではないけれど、こればかりは合う合わないがあるから仕方ないよね・・」というのが当時周りの反応だったと思いますし、僕も概ね同じようなことを思っていたような気がします。

そんな彼が第一線でのプレーを終えた今、当時抱いていた様々な葛藤や苦悩、そして後悔を語ってくれました。
プレーのこと、チームの中での振舞い、社会人Fリーガーとしてのコンディショニングのこと、辞め方など、たくさんの話をしました。

ずっと結果を出すために何ができるかってことを考えて、それを最優先にしてきたのに、あのシーズンだけは今まで自分がやってきたフットサルに対するプライドが先行してしまって、結果を出すことが一番じゃなかった。
自分のフットサル人生最大の後悔で、やり直せるものならやり直したいと。

最後の方はメンバーにも入れなくなっていて、言い方は悪いですが、腐って辞めていった印象がありましたし、当時の扱いに対して、今でも負の感情を持っているんじゃないかなと思っていましたが、全くそんなことはなく、むしろ「あのときのメンバーと喋ってみたいな」と仰っていました。

当時23歳だった僕は自分のことに精一杯で、身近で苦しい想いをしている選手の感情に寄り添うような余裕はありませんでしたが、彼の話を聞いていて「あのときもっと彼のサポートをできる人がいたら違う世界線があったんじゃないかな」と感じずにはいられませんでした。
その後の地域リーグでの彼の活躍を見れば、やはり力があることは間違いありませんから。

「バタには気遣わんと話できたから助かってたわ」と彼は言ってくれましたが、どうしても毎日近くで生活しているプロ契約選手たちと仲良くなりがちで、仕事をしながらプレーしていて本当に苦しい想いをしていた選手たちとのコミュニケーションが足りなかったなと反省。
選手同士は時にギスギスすることもあるだろうから、誰でも気軽に話しかけられる存在って重要ですよね。

こんなにたくさんのサポーターと熱狂的なアリーナを作る仕事はこれまでの人生の中でもダントツで刺激的な日々でしたが、肉体的にも精神的にも本当にキツい経験でした。
選手たちの中にも同じように苦しい想いをしていた人がいたわけで、傷の舐め合いなんてダサいかもしれないけど、もう少し苦しい立場にいる者同士が支え合えたら、自分たちもより輝けたかもしれないし、クラブを少しでも前に進めることができたのかもなと、今となっては感じます。

しかし、こうして10年以上が経った今、当時のことを話できるのは幸せな時間でしたし、彼がこの大きな後悔を次に活かして、その後の競技人生で素晴らしい功績を収められたように、僕も当時の経験を懐かしむだけでなく、今に活かしていかないといけないと感じました。

とても良い時間でした。
またお会いできる日を楽しみにしています。