ラストマッチ

2021年9月。

「FIFA フットサルワールドカップ リトアニア 2021」開幕を前に僕はこんなブログを書いていました。
自分の大切な仲間である西谷良介が、まさに今ワールドカップのピッチに立とうとしていたあの日、何故か彼がフットサルを続けるべきか悩んでいたときの記憶が蘇ってきて、「あのときの選択が正解だったことを証明するときがきたんだな」と感じました。

彼は初戦のアンゴラ戦でゴールを決め、その後の試合でもワールドクラスの相手に臆することなく、堂々としたプレーを見せ、決勝トーナメント進出に貢献。
ラウンド16では、あのブラジル代表を相手に1-3ビハインドから追撃のミドルシュートを決める活躍を見せてくれました。

デウソン神戸で共に過ごした時間はたった1シーズンでしたが、彼にとっての大きな分岐点となる選択、そこに至るまでの葛藤を近くで見てきた自分にとって、ワールドカップでの彼の大活躍は感慨深いものとなりました。

西谷良介選手 現役引退のお知らせ | 名古屋オーシャンズ (nagoyaoceans.com)

そんな彼が2022-2023シーズンをもって現役引退を決断。
最後の勇姿を見届けようと、名古屋へ足を運びました。

2023.2.24(金)
Fリーグ2022-2023 プレーオフ決勝 第3戦
名古屋オーシャンズ vs 立川アスレティックFC

最大5試合の中で3戦先勝したチームが優勝というレギュレーションの中、名古屋が2連勝で優勝に王手をかけて迎えた第3戦。
彼がピッチに立つことはありませんでした。

abemaでの配信で第1戦、第2戦を観た中で、恐らく第3戦にも彼が出場しないであろうことは察しがついていました。
もちろん、元々はプレーしている姿を観に行くつもりでしたが、出ないとわかっていても応援に行くことを辞めようとは思いませんでした。
僕が彼を応援している、尊敬している理由は「上手いから」ではないので。
言うまでもなくプレーは素晴らしい。彼のインサイドキックなら何時間でも見ていられる。
けど、そんな選手でありながら、常に「チームのため」を一番に考えて行動できる人だから応援しているのです。
彼はピッチに立たなくてもチームのために戦えるし、勝利に貢献する。
そして、きっと第3戦も勝利してラストシーズンを優勝で飾る姿を見せてくれる。
そう確信して会場に向かいました。

思った通り、いやそれ以上に彼は勝利に貢献しました。

ワールドカップ日本代表、Fリーグベストファイブ。
輝かしい実績、キャリアのある選手だから、偉そうにしようと思えばいくらでもできるはず。
誰も文句言わないと思う。
なのに彼はウォーミングアップでボール拾いをして、試合が始まったらベンチから声を出して盛り上げて、ベンチに戻ってきた選手や出場時間の短い選手に声をかけて。。
これだけのキャリアを持つ選手がピッチ外で誰にでもできることに120%で取り組む。
誰にでもできることだけど、誰も真似できないよ。

素晴らしいプレーはこれまでたくさん見せてもらったからもう十分。
彼が選手である前に人として最高なんだということを表現してくれて、それが勝利に、優勝に繋がって感動しました。(試合は3-0で名古屋が勝利。3連勝で優勝決定。)

自分がFリーグにいたときに立てなかった優勝のピッチ。
彼のおかげで立たせてもらうことができました。

共に戦えたこと。
友だちだと言ってくれること。
僕の誇りです。



とはいえ、最後に全日本選手権が残されています。
試合に出なくても勝利に貢献できる選手ですが、最後の舞台でピッチに立ちたい気持ちは強いはず。
足の状態はわかりませんが、間に合わせてくるのではないかと思っています。

最後はまたピッチに立って、自らの足でもうひとつタイトルを増やして終えてもらえたら嬉しいです。

あのときの選択。絶対正解だったよね。

いや、正解にしたんだよね。

15年間お疲れ様でした。

1 個のコメント

  • […] 個人的には9位の「死生観」、ランキング外ですが、友人の西谷良介の引退試合について書いた「ラストマッチ」、自分のコンプレックスについて書いた「ハングリーであるべきか」、初マラソンで得た経験を綴った「Running is a Team Sport」あたりは熱量を込めて書けたんじゃないかと思っています。先週書いたばかりなので、アクセス数はまだそこまでですが、「夢は形を変えて」は自分が大切にしてきたことですし、反応もたくさんいただけて嬉しかったです。(明日、新居浜に行ってきます。) […]

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