Running is a Team Sport

Running is a Team Sport

ヴェルデラッソ松阪ランニングクラブの新ウエアにあしらったコピーです。
これはランニングクラブを立ち上げてから僕自身が感じてきたことであり、みえ松阪マラソンに向けて、みんなで頑張っていこうという機運を高める目的で使った言葉です。

2022.12.18
みえ松阪マラソン

地元松阪で開催される初めてのフルマラソン。
10年ほど前から、毎年松阪で開催されるマラソン大会だけはチャレンジしようと続けてきましたが、当時10kmだったものが数年前にハーフマラソンになり、遂にはフルマラソンになってしまいました。
年齢を重ねるごとに低下する体力。それに反比例して上がるハードル。
今大会、10kmという選択肢もありましたが、「一回ハーフやっといて、10kmに戻すのはダサいよな~」と思い、フルマラソンにエントリー。

3年前に「勝負しよう」と決めて準備してきた最後のハーフマラソンが新型コロナウイルスの影響で直前で中止になって以降、ランニングに対するモチベーションを完全に失ってしまい、体力も低下していましたし、何より重い腰をもう一度持ち上げる気になれませんでしたが、ランニングクラブを運営し、クラブも今大会の応援隊になっている中、自分が出ないわけにはいかないよなと思い、晩夏から準備を始めました。

やはり最初はモチベーションが上がりませんでしたが、一歩外に出ると少しずつやる気が出てきます。
「スタートラインに立った時点で勝者だ」という言葉がありますが、本当にそう思います。
とりあえず、靴を履いて外に出れば何かが変わる。
そうやって自分を奮い立たせるところからのスタートでした。

ログを見返してみると、最初のトレーニングでは7:50/kmで90分走るのがやっとの状態。
この状態で何でこんな考えに至ったか本当に謎ですが、4時間30分を目標に、更に上の努力目標として4時間切りを掲げて準備を進めることになりました。
フルマラソンを4時間で走るためには5:41/kmで走り続けないといけないので、かなり無謀な設定だったように思います。

以降、マラソンをメインに活動されている方々には到底及びませんが、可処分時間の多くをトレーニングに費やしてきました。
その中で自分に勝ったり、負けたりを繰り返しながら、準備を進めてきました。

そして、レース当日。

気温3度。強風。
かなりのバッドコンディションでタイムを狙うには厳しめの環境であるどころか、低体温症の恐れもあり、多くのランナーがレインコートやビニール袋を着用してスタートするような過酷なレースになりましたが、県内初のフルマラソン、街をあげたビッグイベントということもあり、コース上どこを走っていても人の暖かさを感じられるレースでした。

普段、ボールを奪い合うスポーツをメインにしていることもあり、「どこにも敵がいない」マラソンの特性は出場するたびに新鮮に感じます。
沿道で声援を送ってくれる方、給水等のサポートをしてくれるスタッフの皆さんはもちろん、隣で走っているランナーさえ仲間なのです。
戦う相手は常に自分。それ以外全員仲間。
これは本当にこの競技の素晴らしいところだなと感じます。

今回も32kmから足が攣って、何度も立ち止まってストレッチをする僕に対し、追い越していくランナーの皆さんが「頑張れ!」「まだ持ち直せるぞ!」と声を掛けていってくれるのです。
3回目の痙攣が全然治らなくて、いよいよもう目標タイムに間に合わなくなりそうだったとき、もう自分の心はほとんど折れてしまっていたのですが、この声のおかげでもう一度チャレンジすることができました。
あのとき声を掛けてくれた皆さん、見ず知らずの方々でしたが、本当にありがとうございました。


「孤独なスポーツ」と評されることの多いマラソンですが、僕は決してそんなことはないと思います。
この競技は常に昨日の自分を上回るための戦いであり、弱い自分との戦い。
そこにはたしかに孤独な側面もあります。
ただ、少し顔を上げて、周りを見てみると、同じように自分自身と戦い続ける仲間がいます。
応援してくれる人がいます。

僕は準備期間も含めて、今回のレースを孤独に感じることは一度もありませんでした。
4ヶ月間、トレーニングをSNSで発信し、レースが近づくにつれて、このチャレンジを気にかけて下さる方が増えていきましたし、レース当日も多くの応援や周りのランナーの皆さんと共にゴールを目指すことができました。

そして、今回のレースで強く感じたのは、今走っている自分に襷を繋いでくれたのは過去の自分だということ。
あの日、外に出ることが億劫だった中で一歩踏み出せた自分、苦しい坂道でペースを落とさなかった自分、インターバルで1秒にこだわれた自分。
全てが今の自分に繋がっていて、今ここで自分が諦めることは、襷を繋いでくれた過去の自分に対する裏切りだと、駅伝のような精神性で走ることができました。

みえ松阪マラソン2022
完走

タイム:3時間57分00秒

持てる力は出し切れた。
いや、実力以上が出たレース。

求めた結果が得られた今、改めて思う。

Running is a Team Sport

1 個のコメント

  • […] 個人的には9位の「死生観」、ランキング外ですが、友人の西谷良介の引退試合について書いた「ラストマッチ」、自分のコンプレックスについて書いた「ハングリーであるべきか」、初マラソンで得た経験を綴った「Running is a Team Sport」あたりは熱量を込めて書けたんじゃないかと思っています。先週書いたばかりなので、アクセス数はまだそこまでですが、「夢は形を変えて」は自分が大切にしてきたことですし、反応もたくさんいただけて嬉しかったです。(明日、新居浜に行ってきます。) […]

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