頂杯

「第22回 地域チャンピオンズリーグ」中止。

この一報が届いたのは、開幕を一週間前に控えた2/10(木)14時でした。

正直全く予想していなかったわけではありません。
増え続ける陽性者、蔓延防止等重点措置。。
流れてくるニュースを見ては「本当に開催してもらえるのか」と不安を感じる毎日。
それでも僕たちは信じるしかなかったし、大会開催にあたっての具体的な指示や案内も届いていたため、開催日が近づくにつれて期待は大きくなっていきました。

しかし、大会は直前で中止。
我々にとって初の全国大会は目の前で泡のように消えて無くなりました。

クラブにとっては創設以来12年目指し続けてきた夢。
選手たちにとっても今季多くの時間をフットサルに割き、様々な犠牲を払って何とか掴んだ夢。
彼らはこの一年間本当によくやってきましたから、相当悔しかったはずです。

ここまで来ることの大変さを知っていれば、「また来年」なんて簡単に言えません。
言うしかないんだけど。

そんな絶望の最中、その日の夜に届いたもうひとつの知らせ。

「第5回 頂杯」開催。

関東フットサルリーグに所属する「ZOTT WASEDA FUTSAL CLUB」が定期的に主催する【頂杯】
今、フットサル界を最も盛り上げているYouTubeチャンネル「目指せ!Fの頂」のFC NAKAIが毎回出場していることでもお馴染みの大会です。

何と地域CLが行われる予定だった日程、会場でこの大会が開催されることになったと。
主催されるZOTTの清野代表にコンタクトを取らせていただき、我々も大会に出場させていただくことになりました。

とはいえ、開催まで一週間しかない中での発案で、当然この時点で参加チームも決まっていなければ、運営してくれる方、審判員もこれからという状態。
この状況から一週間で大会を成功させることは至難の業です。
地域CLのような環境での試合は難しいと思いましたが、それでも何かしら試合を戦うことでこのモヤモヤが少しでも解消されるなら、それだけでもありがたいと思っていました。

しかし、開催日当日会場に着くと・・・
まっすぐラインが引かれた美しいピッチ、数多くの運営スタッフ、各ピッチにボールパーソンがいて、わざわざ関東から審判員の方々にもお越しいただいている。最終日には場内MCまで。
試合のライブ配信は定点撮影ではなく、見やすいようにカメラでボールを追ってくれて、フルマッチの見逃し配信だけでなく、全試合ハイライト動画まで用意されている。

オフィシャルの全国大会以上に素晴らしい環境が用意されていました。
清野さんをはじめ、大会を支えていただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


一週間であの大会が開催されたこと、今でも信じられません。
力を貸して下さった皆様のフットサル愛はもちろん、それを突き動かす原動力となった清野さんの熱い想いが起こした奇跡なのではないかと思います。

僕もその一人です。
大会参加にあたり、清野さんとお話をさせていただく中で、その熱い想いに触れ、チームが大会に参加するだけでなく、この大会の力になれるのであれば自分にできることは何でもやろうという想いになりました。
その中で、審判員の確保に苦戦されているというお話があったため、お手伝いさせていただくことにしました。
予定通り地域CLが開催されていれば決勝トーナメントに残っていたであろう強豪クラブばかりが参加していましたので、本来僕が担当できるようなレベルの試合ではありませんが、若い頃にサッカー審判員を目指して活動していた時期があったので、参加クラブからも審判員が必要ということであれば、経験という意味では他クラブの皆さんより少しはあるんじゃないかと思って手を挙げさせていただきました。

一緒に組んだ審判員の方々や僕が吹いた試合のチームにはきっと迷惑をかけた判定もあったと思いますが、自分なりに精一杯取り組んだつもりです。

大会終了後には感謝状をいただきました。

昔から「賞状なんてもらっても・・」という考えの人間でしたが、こんなに熱く、素晴らしい大会に貢献できたのであればそれは本当に嬉しいことだと感じましたし、それが形として残ったことでジーンとくるものがありました。
お心遣いに感謝致します。


ヴェルデラッソ松阪としては全国でも名の通る強豪クラブを相手に惜しい試合をするも、結果的には1分3敗の最下位(第8位)で大会を終えました。

今シーズン、チームとして取り組んできたことが全く出せなかったわけではないですが、どの対戦相手にも相手の組織を破壊し、試合を決める仕事をする強烈な「個」がありました。

そういう個を発掘していくことも大事だと思いますが、組織としてより強固なものを構築していかなければならないのだろうと感じさせられました。

ただ、このような素晴らしい対戦相手と真剣勝負できたことは選手たちにとって大きな経験になったと思うし、クラブにとっても財産になったのではないかと思います。

<グループリーグ>

vs.EMERSON FC(静岡県)
△4-4 (得点者:08.岡澤 初樹、10.佐藤 哲也、14.小久保 武、16.神谷 幸介)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzr7z3r5yhzc0jddwesf0f4l (フルマッチ)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzxqkm078wzr0jfsdjk2m7s6 (ハイライト)

vs.デルミリオーレクラウド群馬(群馬県)
×5-6(得点者:07.野生 勇輔、08.岡澤 初樹、12.池山 隼也、16.神谷 幸介、17.堀 隆之介)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzsmgfc9wwe00jfs42g845c5 (フルマッチ)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzxr5y0mcp7k0jddfnu87ojb (ハイライト)

vs.FC NAKAI (東京都)
×1-4(得点者:14.小久保 武)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzsmicwc06qu0jddrh284x8t (フルマッチ)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzxrb0brbh9d0ibve9wyjzl6 (ハイライト)

<7位決定戦>
vs.DELIZIA磐田(静岡県)
×1-4(得点者:16.神谷 幸介)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzubphzn34iz0ibvmraulseh (フルマッチ)
https://elevensports.com/ja/view/event/ckzxrpcra8xs70jfscrlcnblx (ハイライト) 

頂杯。
本当に素晴らしい大会でした。

地域CLの中止が決まった日。
僕はチームに同じ日程での代替大会の主催を提案しました。
クリアしなければならない課題が山積みで実現の可能性は低いけど、選手たちがそれを望むのであれば、やれるだけやってみたいと思い、チームのグループLINEに投げかけました。
もしやるのであれば、選手たちの協力なしでは実現しえないと思ったので。

しかし、その返答を待っている間に清野さんは頂杯の開催を宣言し、参加チームを募り始めていました。

同じ想いでしたが、「覚悟」が全く違いました。



費用をどうするか?
運営の人手をどうするか?
審判に協力してもらえるのか?
自主大会でも参加してくれるチームはあるのか?
全国大会が中止になった中、わざわざ自主大会を開催することに対する批判や責任は?

それら多くの懸念事項をたった一週間でクリアしなければ開催できなかった今大会。
おそらく、清野さんは誰かの同意を得る前にもう動いていたと思いますし、それができるのは全てを自分で背負うという覚悟と、その想いにみんなが応えてくれるという信頼関係があったからだと思います。

もし誰も動かなくて、僕が大会を主催していたらこうはならなかったでしょう。
清野さんがやってくれて本当に良かったです。
また尊敬できる人物が一人増えました。
素晴らしい出会いに感謝です。

今大会はチームの結果という意味でもまだまだ全国とは差があるなと感じさせられるものでしたし、クラブとしてもまだまだ全国常連の皆さんとは差があると感じました。
特にZOTT WASEDAの雰囲気、選手たちの前向きな姿勢や言動は見習うところばかりでした。

しかし、やれた部分も少なからずあったと思いますし、チームをサポートするスタッフのサポート体制は全国の地域リーグでもトップレベルだったと思います。
いつも支えてくれるスタッフのみんなには改めて感謝です。

このような素晴らしい経験ができたのもクラウドファンディングのご支援をいただいた皆様やご協賛をいただいた企業様のおかげです。
皆様、本当にありがとうございました。

最後に、、、
頂杯は素晴らしい経験になりましたが、地域CLを戦いたかったのも正直なところです。
難しい判断だったと思いますし、中止を否定するわけではありませんが、他の伝染病と同じように扱う議論がもっと進んでいいと思うし、フットサル界としても政府の宣言=中止でなく、ルールや指示の範囲内で大会を開催していくことをやっていくべきなのではないかと感じています。

今回の頂杯が地域CLが行われる予定だった日程・会場で行われたことで、地域CL中止に対する当てつけのような見られ方をされる方もいらっしゃるかもしれませんが、現実的な問題として元々空けてあったこの日程でなければ開催が難しい部分もあったと思いますし、これがひとつの事例として残り、議論の材料になってくれればいいのではないかと思います。


今後社会がどんな状況になるかは誰にもわかりませんが、我々のように不可抗力で悔しい思いをするチームがこれ以上出ないことを願っています。

地域CLの開催が不安視された期間、常に我々に寄り添い、最後まで開催の可能性を探ってご尽力いただいた方がいらっしゃったこともここにお知らせしておきます。
誠にありがとうございました。